ふたりぼっち
***

(なんだか嬉しそうな明彦さんに気圧されて、言われるがままについて来てしまった……)

それにしても。

「風が、気持ちいいですね……」

空いている窓から車内に吹き込んで来る風に、髪がなびく。

その言葉を聞いた明彦さんの表情が少し曇ってしまったため、私は慌てて話題を変える。

「あの、明彦さんはお付き合いしてる彼女さんとか、いないんですか? 」

明彦さんはハンドルを握りながら、アハハと笑う。

「いないよ。もしいたら、こんな風にハルとドライブなんてしてないさ」

「そうですか」

なんだか、その言葉を聞いて少し安心してしまった。


明彦さん、カッコイイから……てっきり、彼女とかいるものだと思ってた。
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