ふたりぼっち
***


過ぎ行く景色を眺めながら、胸の鼓動を静める。

今明彦さんの方を向けば、赤くなっている顔に気付かれてしまう。


……どうしてだろう……?


明彦さんの顔が近くに来た時、なんだか……懐かしい感じがした。


私は、居候している身なのに。

お世話になってる上に、こんな感情……彼にとって、迷惑なだけよ。


さっきのだって、キスしようとしたんじゃなくて……何か別の理由があったのかも知れないし……。


しばらくして、キキーッと車が停車する。

「着いたぞ」

明彦さんにそう言われ、車から降りる。

辿り着いたのは町から離れた山の上にある、展望台だった。
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