ふたりぼっち
また、そよ風が木々を揺らす。

ちょっと寒いな。そう思い、両腕を摩っていると。


「ハル、これ着ろよ」

バサッと、肩の上から彼の上着をかけられる。

「え、でも……それじゃ、明彦さんが……」

明彦さんはニコッと笑った。

「良いよ、別に。俺は頑丈だから」

そう言いながら、紅葉をバックに半袖でマッスルポーズを決める彼。


その腕には、うっすらと鳥肌が立っていた。

「ふ、ふふっ」

思わず目についてしまった鳥肌に、声が出てしまう。

「あ、腕見えた? そっか、目良いもんなハルは」

ま、俺はすぐに寒さに慣れるよと言いながら、私の隣で街を眺める明彦さん。


……何だか不思議です。


私はずっと前に、彼と……この景色を、見ていた様な気がする。
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