ふたりぼっち
「……優しいんですね、明彦さんは」

ポツリとそう呟くと、明彦さんは首を横に振る。

「優しくなんか無いよ、俺は」

そう話す彼の顔は、とても辛そうで。


「……明彦さん? 」

再びそよ風が吹いた時には、彼はもういつもの表情に戻っていた。

「さ、腹減ったし飯でも食いに行くか」


私はそれ以上詮索せず、静かに頷く。



「はい」
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