ふたりぼっち
家に戻り、夕飯の支度を始める。

いつも俺が使っているエプロンを渡すと、彼女は恥ずかしそうにそれを受け取った。

「何でそんなモジモジしてるんだ? 」

率直に尋ねると、ハルはエプロンを握りしめる。

「だ、だってですね……。こんなの、お、奥さんみたいじゃないですか……」


まぁ事実、奥さんだけど。

「けどエプロンつけないと、服汚れるぞ? 」

「わ、分かってますっ」


ハルは顔を赤くしながら少し大きいエプロンを装着した。


その姿をキッチン越しに見ていた俺は、思わずぽろりと本音をこぼす。


「か、可愛い……」
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