ふたりぼっち
***

ー ……『ねぇ、見て○○! こんな展望台からでも、星が綺麗に見えるよ! 』


あれ、これは……夢……?

それにしては、やけにリアルな夢。

私は嬉しそうに、両手を広げて昨日訪れた展望台に立っている。

そう言えば……誰と、昨日ここに……来たんだっけ……。

目の前にいる男が満点に輝く星空を見上げる。

『本当だ。綺麗だな』

男はかっこ良くて、爽やかな雰囲気を醸し出していた。

私は頬を膨らまし、彼の腕を掴む。

『なによー、そこで君の方が綺麗ダヨとかキザな台詞言ってくれても良いじゃない』

『ばっ……! そんな台詞、言えるわけないだろ』

『へへー、私は言えるもーん! 星空よりも、○キの方が綺麗だよ』

男は目を細め、アハハと声を出して笑った。

『立場が逆だよ、ハル』

『だってアキが言ってくれないんだもん』


アキって……この、男の人の名前?

どこかで見たことあるような……。

2人とも星空の下で楽しそうに、笑っている。


あぁ、どうか……この夢が、現実に……なりますように……。


この人の名前を、この胸の高鳴りと共に、覚えていますように。

夢の中で見た星空に、そう願った……。
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