ふたりぼっち
私は何も答えず、彼を起こさない様にそろりと寝室を抜け出す。


……よし、今日は朝から美味しいものでも作って、明彦さんを驚かせてあげよう。

昨日は料理を作ったら凄く喜んでくれましたし。

それにあんなに悲しそうな声を聞いてしまったら、どうにかして……元気にしてあげたい。


彼が何も話してくれない以上、私には今自分にしか出来ないことを精一杯やろう。

そんな思いを胸に抱きながら階段を降り、キッチンへと向かった。
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