ふたりぼっち
***



重い瞼を開き、室内の時計に目をやる。

「んっ、……もう朝……か……」


隣を見ると、そこにはいるはずの存在がいなかった。

「は、ハルッ?! 」

布団には彼女がいた形が残っている。足元に置いてあったスリッパは、無くなっていた。


(くそっ、目覚めるのが少し遅かった……! )

パニック状態になって、家を飛び出したりしていないだろうか?

それとも両親のことを全て思い出して、自ら命を絶っているなんてことは……?


「ハルッ! 」


急いで階段を駆け下りると、キッチンから何かカチャカチャと物音が聞こえてきた。


すぐさま廊下を走り、キッチンの扉を開けると、そこには……朝食の準備をしている彼女が、いた。

突然開いた扉に目を丸くさせながら、手にはフライパンを持っている。


「あ、明彦さん……一体、どうしたんですか……? 」

リビングのテーブルの上には、湯気を立てている味噌汁やサラダが並べられていた。

俺は一気に力が抜け、呆然とその場に立ち尽くす。


彼女は「あの、」と身振り手振りで説明してきた。


「明彦さんに元気をつけてもらおうと、朝食を作ってみたんです。だから……」

「…………計……るな」

「えっ? 」
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