ふたりぼっち
滅多に開くことのない仏壇の扉が、吹き抜けた風のせいでカタカタッと開いてしまった。

椅子から立ち上がり、仏壇の扉を閉めようとするが、もう間に合わなかった。


ベランダに出ようとしていたハルの視線が、扉の開いた仏壇に向けられる。

「えっ? どうして? 」

彼女の目は、仏壇の位牌を凝視している。

ワナワナと体が、震え出す。


「どうして、どうしてそんな所に名前があるの……? お父さん、お母さん……」

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