えんぴつ
授業開始のチャイムが鳴った。それと同時に周りの生徒が慌しく自分の席へと着席していった。

教師が教壇に立ち、生徒のひとりが号令をかける、それに合わせてその生徒以外の生徒も挨拶をした。

そして、挨拶が終わると教師は黒板に対峙し授業の内容を書き始めた。

なんらいつもと変わりない一日がスタートしたようだね。


雅臣はそう思いながらえんぴつで板書を写そうとした…………が。

「あっ…」

そうだった、えんぴつ芯、折れたままだ。
最悪なことにこれを削る道具も田原に貸与えてしまった。

えんぴつのストックなし、削る道具もない
おまけにその道具を返してもらおうにも彼と雅臣の席は声をかけるには少々躊躇してしまうくらい離れていたのだ。

授業は刻一刻と進んでいく。

(…仕方ない、あまり気が進まないが授業の為だ、シャーペンをつかうことにしよう)

えんぴつを主に使ってはいるが雅臣は
一応シャープペンシルも持っていた。

カチカチ

(?)

カチカチ…カチカチカチカチ。

(シャー芯が切れていたか、まったく今日はついてないな)

心の中で愚痴をこぼしながら
シャープペンシルの芯を探した。

(ええっと、シャー芯は確かここに入れておいた…はず………………ん、ないな)

筆箱の中を探すが、なかなか見当たらない

あんまり使わないから入れ忘れたのかと思いつつ更に奥まで探ってみると…

ようやく中が少し透けてみえる半透明のシャープペンシルの芯の入れ物を見つけ出すことができた。

しかし、いざ出してみると入れ物の中には芯が1本も入っていなかった。

< 3 / 14 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop