えんぴつ
(おかしいぞ…めったに使わないのになくなっているだなんて)

雅臣は一呼吸入れた後、潔くある一つの
決断をすることにした。

(よし…寝よう)

ノートは後で友人にでも借りてまとめればいい、彼はそう自分に言いきかせ
いざ眠りに入ろうとした。

眠りに入るため頭をふせようとしたその時
雅臣の視界の端に棒状のものが隣から
こっちに差し出されているのをとらえた。

見ると、隣の席の女生徒からだった。

「ん」

彼女はにこりと軽く微笑むとそれを早く受け取るようにと、再度差し出してきた。

「え?あ、いいんですか?」

「いいからいいから、先生に注意される前にとって」

彼女はとても人懐っこい笑顔をたずさえながら、それを雅臣に渡した。

彼が受け取ったのは側面が緑のありふれたえんぴつであった。

「ありがとう、授業終わったら返します」

「気にしなくていいよ、返すのいつでもいいからね?」

2人はそう短いやり取りを交わした後
意識を授業へ戻した。
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