えんぴつ
「んでだ、おまえそれどーすんだ?」

田原はさっきのふざけだ様子から一変し、
妙に真剣な面構えになった。

「どーするって、そんなの返すに決まってるじゃないか」

「ばっかおめぇ、まさか月代 刹奈(つきしろ せつな)を知らねぇなんて言うなよ?」

月代 刹奈を勿論僕は知らない訳ではない、同じクラスの女の子ぐらいにしが思っていないが。

しかし、田原は持ち前の感の鋭さで気付いた様で更に驚いた顔をした。

「おいおいおい……まさかのまさかとは、おめぇって単なるえんぴつマニアだったってことかよ……。」

「田原それは流石に意味がわからん」

「いいだろうっ!無知で憐れな親友の為に教えて差し上げようじゃないか!!!」

彼は神妙な面からまた一変し、いつものひょうきんかつドヤ顔で断言した。

「月代 刹奈、齢18歳、しし座、得意科目美術、苦手科目音楽、好きな事絵を描くこと、嫌いなこと隠し事、彼女は絵を描くことを愛してるといっても過言じゃないほど好きらしい、その特技を生かして高一の時に大賞に選ばれたほどの実力の持ち主だ、今年も絵の大会に出典するつもりのとにかくすごい子なんだよッ!!!!」

早口で彼女の情報をつらつらと述べていく田原、途中曖昧なのは気にしないが、
とりあえずは、雅臣もすごい子という認識はとれた。

「すごいのはわかった。でも、何故そこまでペラペラと彼女の情報を言えるのだ?」

単純な質問を彼に問いかけてみた。

「えっ……」

一言彼がそういうと急に黙り込んでしまった。

「えっ?」

あまりの間に雅臣もつられてしまった。

「……田原…今までありがとう、そしてさよなら」

「うぉぉぉいっ!!オレを犯罪者でも見るような目で見んじゃねーよっ!!!」

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