えんぴつ
書くと描く
授業に遅刻するも2人はなんとか体育を終えることができた。

その後の授業も移動教室だったため、なかなか彼女に会うことが出来ず午前の科目を済ませることになった。

そして、昼休みにて。

「あぁ、結局返すことができず昼なのですか……」

「いや、今行けばいいじゃん」

「なら、田原あれを見てどう思う?」

自分らの今場所から斜め右の方を視線で指した。
それに田原も反応し、見るとそこに月代を含め数名の女生徒達が楽しげに食事をしている。

「だから、行けばいいじゃん」

彼は笑いを含みながらまた同じように雅臣に促した。

「流石に難しいと思うが、男1人がえんぴつ返しに女子のグループに入るなんて」

「グダグダやかましいなぁ、男ってのは度胸だろうがっ」

そう熱く語る田原であったが、

「度胸と無鉄砲は別ものだよ」

と、アッサリ返されるのであった。
彼も気にしないようで、途端に何かを思い出したのか、制服のポケットを探ってあるものを取り出した。

「そーいや、返すで思い出したがこれ朝から借りっぱなしだったな。これ返すよ」

彼は僕に朝に貸したえんぴつとそれを削る道具を渡した。

「もういいのか?まだ使ってくれても構わないのですが」

「だって、確か筆記具その借りたえんぴつしかないだろ?それなら使うと思ってさ」

「いや、だったら体育の後返しなよ」

呆れ顔で雅臣はツッコミを入れる。
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