to you.


潤んだ瞳は、今にも泣き出しそうな顔をして、俺の顔をゆっくりととらえた。


彼女のもとにゆっくりと歩み寄り、そっと彼女を抱きすくめた。

胸の中に埋めると、瞬く間にぽろりと涙を零しはじめる。

……強がるなよ、泣きたいときは、声なんか押し殺さずに、思いっきり泣けばいいだろう。

ひとり沈んだ顔をして抱え込むなら、俺を好きに呼びつければいいし、俺はその涙をそっと拭ってやるから。


心まであたためるように、熱いシャワーを浴びさせて、身体をあたためて、狭いシングルベットで身体を寄せあう。

「急に来るから、びっくりした。来るなら言ってよ」

そう言う彼女の顔は、少しすっきりしたように明るくて、へへっと照れくさそうにはにかんだ。

「知るかよ、お前の都合なんて」

憎まれ口を叩くと、彼女にしては珍しく、甘えるように俺にすり寄ってきた。

そんな彼女をゆっくりと抱き締め返してやると、彼女は安心したように、そっと息を漏らした。

「……少し、仕事で大きなミスをしたの。」

「………少しなのか、大きいのか、わからない。」

「ふふ、うん…。でも、もうだいじょーぶ。」

穏やかに微笑んで、俺の胸に頬を寄せる彼女に、そっとキスを落とす。

「俺は、アイス買って持ってきただけだから。」

「アイス……?」

「冷凍庫に入れといた。イチゴとバニラ……どっち?」

「いちご」

「うん、明日起きたら食べよう」

彼女の沈んだ声を聞いて、駆けつけてきたなんてことは、言わない。

いつも自分を強く、しっかりと見せようとしている彼女を知っているから。


そっと優しく彼女の頭を撫で、耳元でそっと囁く。

「おやすみ」

今日はもうゆっくり休もう。

明日の朝、アイスを頬張る彼女のまぶしい笑顔をはやく見たいから。

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