なまものみち
「えー解説者のイモリさんが、やむを得ない事情で席を外されましたので、代わって解説者には金魚さんをお迎えしました♪」

「よろしくお願いします」

「金魚さん、さっそくなんですが、金魚さんを飼われた経験のある人なら、我々ウーパールーパーも簡単に飼育できてしまうということは──意外と知られていないことなんですよね」

「そうですね。
我々金魚も、今はこのとおりちっちゃいですが、上手に飼えば・・・・・・みんな最終的に30cm近くまでデカくなりますからね」

「そうそう」

「水の汚れや変化に弱く、意外にすぐに死んでしまう我々に比べて、ウーパーさんたちは滅多に病気にもなりませんし、ちょっとやそっとじゃ死なないタフさも持ってらっしゃる」

「おっ、イモリさんよりも話がわかりますね♪」

「初心者にはむしろ、金魚を飼うよりもウーパールーパーのほうをオススメしますね」

「しかし我々ウーパールーパーは、残念なことにまだ、金魚ほど親しまれてはいないんですよ」

「やっぱり値段の問題じゃないですか? 確かペットショップの魚コーナーでは、¥2000~¥3000くらいで売られていますよね」

「えっ? 安くないですかそれ?」

「ネットを使えば、もう少し安価で──¥1000以下で手に入るオークションサイトも出てきてますね。
まあ、安いと感じるか高いと感じるかは人によると思われますが」

「安いですよ~」

「でも、我々は金魚掬いで¥300ですよ」

「・・・・・・・・。
 いや、金魚さんだって、らんちゅうとか──高いものはン万円じゃないですか」

「そういう高級魚はマニア向けですよ。
金魚掬いの金魚でしたら、お店で買えば¥30前後です♪」

「・・・・・・・・・・・・・。」

「一般家庭の財布のヒモは、主婦の方が握られてますからねえ~。
一食の食費より高い生き物なんてなかなか──・・・・・・」

 ☆

「・・・・・・おや? どうされました?
金魚さん?

金魚さん、急に体調が優れなくなられたようです♪」
< 12 / 40 >

この作品をシェア

pagetop