私たちの失敗
自分を励ましながら、桜のトンネルを自転車で爽快に駆け抜ける。


感じる風に春の香りがして、なんだか良いことがありそうな予感がした。


そんなことを考えていると……


キキッ!!


目の前に別れ道が現れて、思わず急ブレーキ。


(うわ、これどっち行けばいいんだっけ…。)


きちんと高校までの道を覚えなかったことを後悔しても、もう遅い。


かなり早く家を出たこともあり


まだ入学式が始まる一時間半前で、周りに同じ制服を着た人はいなかった。


全然良いことじゃないよ、もう!


私はとりあえず左を選び、まっすぐ進んでみたけれど


そこには民家の塀があり、行き止まり。


あちゃ〜間違えた〜と思いながら


自転車をUターンさせると


前からスーツを着た男性がこちらに向かって歩いてきていた。


背は160cmの私からすると少し高めの170cmくらい。


青いネクタイがよく似合っている。


そして、かなりイケメン。


「あのっ…!」


!?


私は、自分でも無意識のうちにその人に声をかけてしまい


かなり焦った。
< 2 / 14 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop