私たちの失敗
「…いえ、私は隣町に住んでます。


 先生はどこに住んでいたんですか?」


心臓がドキドキしているのが、自分でもよくわかって


でもこの胸の鼓動は、新しい生活への緊張のものなのか


先生へのものなのかは分からなくて。


どちらにせよ、先生には絶対にバレなくない。


「…僕のことは、いいんですよ。」


「…?」


先生はまたふわりと笑う。


けれどその笑顔も、どこかさみしげで、けれどとても美しく


私はその瞬間(とき)思ってしまった。
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