私たちの失敗
そこから先生は


桜がきれいですね、とか


天気がいいですね、とか


話しかけてくれたけれど、私は全てに


はい、とか


そうですね、とかしか返せなくて少しもどかしかったけれど


緊張が絶好調だったから仕方ない…。


そうこうしているうちに、いつの間にか私たちは学校に辿りついていた。


「着きましたね」


先生は、学校を見据えていて


その瞳はまたどこかさみしげで、けれどとても美しい。


「先生って、」


「なんですか?」


「とてもきれいな瞳を持っていますね。」


「ふふっ、そんなことないですよ。


 少し目が大きいだけです。」


「なんですかそれ、まぁそれもそれで羨ましいですけど!」


「「はははっ」」


春風が、私たちの髪の毛を揺らす。


先生と、同じ風に吹かれているだけで


なんだかとても愛おしい。


先生、どうしていつもさみしげなの?


どうして?


「どうして?」


「?


 なにがですか?」


心の声が無意識に出てしまった。


止めようと思ったけれど、止めることはできない。


「どうして、さみしいの?」
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