ヘビースモーカー~先生の香り~
「っ…」
開けた瞬間、煙草のにおいが鼻から入り肺に到達する。
そのむせ返りそうになるにおいを我慢しながら口に手を当て室内を見る。
すると、煙草の煙りのせいで多少視界が悪くなっているも、奥の机に誰か座っているのが見えた。
「っ…あ、あの…」
「ったく、これだからガキは。ノックもねーのか?」
「へ?」
声を掛けようとした私の声を遮り、冷たくて低い声が私の耳に届く。
声色からして、殺気立っているようだ。
「し、失礼しました」
ピシャン
そのあまりの声の怖さに無意識に扉を閉め、回れ右をして帰る。
が、
「どこに行くんだ?」
ポンッ、なんて効果音がつきそうなほど優しく肩に手を置いたその人に、これまたビクッ、なんて効果音がつきそうなほどビクついてしまった。
後ろを振り返る勇気などありません。
2回目だが、チキンで結構。
「あ、あの…」
「保健室には何しに来たんだ?」
「え、あ…と、友達に顔が赤いと言われ…その…っぎゃあ!?」
あまりの恐怖にどもりながらも必死に伝えてると、いきなり体をグルンと回転させられ、ちょうど向き合うに形にさせられてしまった。