彼女は心に愛を飼っているらしい
1.塗りつぶされていない彼女
四月の心地よい風が頬を撫でる中、
高校2年になったばかりの僕は、クラス表を特に興味も持たず、眺めていた。
1年から2年に学年が変わり、クラスも変わる。僕の学校は1年から2年に上がる一度だけクラス替えをする。
2、3年はこのまま同じクラスで過ごすことになるが、そんなことはどうでも良かった。
誰と一緒になろうが、どんなクラスになろうが僕が生きる道は変わらないからだ。
僕は引かれた道をただ歩いていけばいい。そんな中に親しい友達の存在や、大好きな先生などは必要ないのだ。
教室の場所を確認して、騒ぐ周りを通り抜け歩き出すと、まだ誰もいない教室に向かった。
教室は静かでほっとした。外からクラス表を見ている人々の様子が見える。仲のいい友達と離れて嘆くもの、同じクラスになれて声をあげて喜ぶもの。見ていて全て、バカバカしいと思った。
ほうっと一息ついた時、教室のドアがガラっと音を立てて開いた。