彼女は心に愛を飼っているらしい
ただただ純粋な子どものような知りたいを突き付けてくる。
「本気で信じてるの?」
「信じてるよ」
僕は、戸惑った。
なんとも厄介だと思った。
気持ち悪いと離れてくれれば、ほら、どうせ人なんて、って笑ってやったのに。
「すごい世界ね」
彼女はおとぎ話のような世界を信じることに決めたようだ。
「気持ち悪いって言いたいんだろう?」
「ううん、見てみたい。すごく不思議な世界だから」
僕の前だからそう言ってるんだろう。どうせ明日には誰かに言いふらして笑いものにするんだ。
そういう疑いの目を全て振り払うような純粋な瞳とまっすぐな言葉。
すると、彼女は僕の顔にすっと手を伸ばした。
「ちょっと、何?」
「この目がそんな見え方してるの?ねぇ、じゃあこれも見えないの?」
彼女は顔を動かしたり、ふにゃりと曲げたりして見せた。
彼女だけは表情が見えるということも知らずに、僕に変な顔をさらす彼女が少し面白くて笑いそうになったけれど、なんだか真剣なのでいつまでも眺めているのはやめた。
「ぶさいく」
僕は小さな声を投げかけると、彼女はあんぐりと口を開けて言う。
「そんなこと、女の子に言っちゃいけないよ!」