彼女は心に愛を飼っているらしい
「あれ、まさかの2番目?」
ソプラノの透き通る声が響く。
肩よりも長く伸ばされた赤茶色の髪がゆらりと揺れた。可愛いと言うよりはキレイと表現する方が正しいか、他の人よりも圧倒的に目を引くような女子だった。
だけど、そんなことよりも。
もっと僕の目を引くものはここに存在していた。
この3年間ずっと見ることの無かったもの。
否、見られなくなったものが今ここに、僕の目にはっきりと映っていた。
「ぐちゃぐちゃじゃ、ない……」
ポツリ、とつぶやいた言葉に彼女は不思議そうに首をかしげる。
それが僕と彼女の最初の出会いだった――。