彼女は心に愛を飼っているらしい
「赤組は団結力が強いな~私たちのクラスも見習わなきゃね?」
ひとり楽しそうに話している彼女を見ていると、やっぱり彼女は何を考えているのか分からないな、と思った。
クラスリレーの後、周りが僕と距離を置く中、一番に話しかけてきたのは彼女だった。
空気を読むこともなく「アハハ、キミ遅いね」なんて軽快に笑うもんだから、また彼女と周りとの距離は離れて行ったことだろう。
友達が欲しいなら、こういう時周りと同じように合わせることが一番なのに。
知らないのか、それとも知っててもああいうことをしているのか、僕には分からない。
「緑が35点追加か~ダントツだね。これはもう決まったかも」
白組は黄色組みと最下位争いをしている。恐らくこの得点差なら1位になることは無理だろう。
1位が無理ならば、せめて最下位にはならないように。クラスのみんなの冷めかけた熱量はそちらに運ばれた。
しかし、願いも虚しく僕たちのクラスは最下位に終わってしまった。
声を上げて喜ぶ緑組みの隣には、燃え尽きた灰のように落胆する僕たちのクラスがある。
そんな僕たちが教室に戻ると、先生は声をかけた。
「みんなよく頑張った」