秋田の彼女と都会のオレ
ー放課後ー
『また来けろな〜。』
つぐみって奴の気が知れない。
当然行くわけないだろう。
ああやって、俺を騙そうとした奴は
沢山いた。
俺の父ちゃんが会社の社長なので、
こびうってくるやつは星の数ほどいる。
『すごい』とか、『かっこい〜』とか、嘘のことを言ってるか、
本当に思っているのか、何となく分かってしまう。
なのに、アイツは……………。
あの女は………………。
『大丈夫だっけが?』
アイツの心が分からない。
あんな行動一つ一つ真っ直ぐで、
他人を優先して、
見ず知らずの俺とまた会いたいって、言ってくれた。
(あんなヤツ、初めてだ…………。)
アイツは、きっと、俺を
騙す気はないと思う。
信頼していいのか、分からない………。
(あーゆーヤツが一番
分からないんだよな…………。)
はぁとため息をつく。
(こう思った奴はほかにもいた気がするな、
確か幼稚園のころ、クラスの女が……。)
ふと思い出した言葉があった。
幼稚園の頃の俺はいじめられっ子だった。
涙をポロポロ流してる。
(みっともねー。)
我ながら、恥ずかしくなった。
『こら!』
声がした。
『裕ちゃんをいじめるな!』
その声の主は女だった。
『うわ、◯◯だー。
殺されるぞ、逃げろーー。』
みんな慌てて、逃げてく。
女の子はフッと笑って言った。
『涙は人の心を洗う聖水なんだよ。
だから、裕ちゃんはみんなより、いっぱい
優しくなれるね。』
その女の子の顔と、名前は覚えてない。
けど、その言葉を忘れたことは無かった。
(……行ってみるか。)
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