キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】


「次、俺は?」


「ら、藍」


若干ぎこちなくも呼ぶと、藍は満足気に微笑む。


「呼べたね。じゃあ今度からは藍、で」


「うわー、恥ずかしい」


むずむずする。情けない顔を隠すために髪をくしゃくしゃしていると、皐月と目が合った。


「明日歌、麦茶取って」


「分かりました!……あ」


皐月に麦茶を渡そうしたら、反射的に『分かりました』と言ってしまった。そうなると分かっていた皐月は、ケラケラ笑ってくる。


「まーそりゃあすぐに癖は直んねぇよな」


「お前、星渚達に敬語使ったらペナルティで腕立て」


「碧音君、それはいじめって言うんだよ」


碧音君て、本当にドSだよね。そんなところも好きだと思う私も重症だけどね。


「あの、合宿お疲れ様でした。ライブ頑張ってくだ……、頑張って。絶対観に行くから」


敬語をなしにしようとすると、話し方がたどたどしくなってしまう。


「菜流と一緒に、1番前で応援する」


「人気のイベントだから、最低開演2時間前からは並んでないとダメだけどね?」


「いくらでも並ぶ!」


星渚さん念押ししなくても大丈夫ですよ!


「お前、当日寝坊しそうでこえーわ」


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