キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
【夏に恋】






朝からジリジリと照りつける太陽とどこからから聞こえてくる蝉の鳴き声が、本格的な夏の到来を感じさせる。


学校に登校するだけだというのに、もう汗が額に滲んできた。


「冷えた炭酸が飲みたい……」


夏にかけて増えた炭酸飲料の爽やかなCMが頭に流れる。そのCM曲を何となく口ずさみながら歩いていると。


「あれは!」


約3メートル先に碧音君発見!


放課後はバンドの練習に明け暮れて、夜にライブがあれば圧倒的な歌と雰囲気で観客を酔わせている彼。


でも、そんな碧音君も普段は私達と同じように暑いなーって思いながらも学校に行って、授業を受けてるんだもんね。


碧音君の表の顔と裏の顔を知ってる人はごくわずか。そのうちの1人に自分もいると思うと、何だか不思議な気持ちになる。


「あーおい君!おはよう今日もいい天気ですね!!」


「わ、いきなり近寄ってくんな」


タタッと足取り軽く碧音君の隣まで駆け寄って挨拶すると、すごい早さで距離をとられた。

< 102 / 579 >

この作品をシェア

pagetop