キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「あっ、先にアイス食べちゃわないと!溶けちゃう」
「んな慌てなくても」
ガザガザとコンビニの袋を漁ってアイスを口に含む。表面が溶けて固くなりすぎていない、ちょうど食べごろな感じ。
「んー冷たい!美味しい」
「お前の何味?」
「レモンソーダ果肉入り!」
「好きなのか。そういうの」
「うん!好きだよ。甘すぎないとこが。碧音君の新作はどう?」
「今食べる」
碧音君は丁寧に包みを剥がして小さく口を開き、シャリッと良い音を立てながら食べた。溶けた表面の部分で濡れた唇と見え隠れする赤い舌がなんとも煽情的。
もとから色気がある碧音君にこんなことをされたら、例え男子でも顔をピンクに染めるに違いない。私は平常心を保つのにせいいっぱい。
「お、美味しい?」
「……まあまあ」
碧音君のまあまあ、は美味しいの部類に入る。
お気に入りのフレーバーが増えてよかったね。2人でシャリシャリとアイスを食べていく。この音も夏っぽくて好きだ。
じっと見つめていると『食べる?』とアイスを差し出してくれて、緊張しつつも距離を縮めてシャクリ。少しだけ食べさせてもらった。
「碧音君と2人でアイスを食べられるならこんな暑い日も悪くないしむしろ夏に感謝せねば」