キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「おい心の声抑えろ」
「でも事実ですこのシチュエーションにときめかないわけが、ない!」
「明後日終業式だな」
「待って碧音君そんなに話の振り方下手だっけ?あ、距離をとらないでこっち向いてお願いします」
ササッと前のめりになっていた姿勢を正す。いけない、落ち着くんだ自分。深呼吸をしたところで碧音君が視線をこちらに戻してくれた。
「お前明後日貰う通知表に『落ち着きがありません』って書かれてそう」
「私もそう思う」
「認めた」
「通知表いらないけど終業式終われば夏休みなのは嬉しい」
「夏休み、か」
「碧音君は夏休み入ってすぐライブだもんね、夏休み気分って感じじゃないか」
「ライブまでのカウントダウン開始の合図だって思う」
「菜流と一緒に観にいくから頑張ってね。最前列で応援するから!」
「うるさいファンがいるって勘違いされるだろ」
「大丈夫さっきみたいに暴走しません!碧音君達のライブ、しっかり目にやきつけるために行く」
「……そ」
綺麗な唇が、ほんの少し弧を描いた。
本格的な夏と、歯車が動き出す、音がした。