キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
【揺れる想い】
「うわ、もうこんなに並んでる!」
「うちら早く来た方だけど」
遂にやってきた、ライブ当日。
早朝から準備してなるべく急いで来たものの、会場入り口には既に人集りが。入場は約1時間後だというのに。私達も列の最後尾に並んだ。
「どうしよう、楽しみ過ぎて心臓が口から出てきそう」
「バカなの?」
「そわそわする」
「落ち着いてね」
菜流はサラリとあしらって、周りに視線を泳がせる。菜流には他に気になることがあるようで。
「星渚、まだ来ない」
「ああ、一度ここに来るって言ってたんだよね」
「場所は連絡してあるから大丈夫なはずなんだけど」
「そのうち来てくれるよ」
皆はエントリーとか色々やることがあるから、と私達より先に会場に着いている。私も始まる前に、碧音君に会いたい。
「それより晴れてくれたのは良いけどさ、あっつい」
朝からジリジリと容赦なく照りつける太陽が、眩しくて仕方ない。雨が降るよりかはマシなんだろうけど。体力が奪われそう。