キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】


私といる時より声が1トーン高くなってるよ。扱いの差。


「星渚ぁ。遅い」


「ごめん、エントリーに時間がかかって」


爽やかな王子様スマイルに、近くにいた女子が数名顔を赤らめた。ついでに、目にハートが浮かんでる。


「おっすー、久しぶりだな菜流……と、変態」


「年上じゃなかったら殴ってる」


この口の悪い男に対しても目を輝かせる女性の方々がいることが、不思議でならない。


『あれ、midnightの高瀬さんじゃない?』『やったー。こんな近くで会えちゃった』と、コソコソ小声で話す声。


「碧音君はいないの?」


「てめえは俺が来てやったことに喜べ」


「碧音君は?」


「シバくぞ」


皐月が言うと現実味があり過ぎて怖い。


「碧音と藍は控え室にいんだよ」


何だかんだ律儀に答えてくれるよね、皐月って。


『ねえ、あの子誰?皐月さんの知り合い?』『まさか彼女……?』『ないない。つり合ってないじゃん』とクスクス笑いながら後方で話すお姉様方。バッチリ聞こえてます。


色々失礼だ。

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