キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「碧音君に、ライブ始まる前に頑張ってって言いたかった。そしてあわよくばどさくさに紛れて抱きつきたかった」
「よく恥じらいもなく言えるよなお前!しかも学校でも散々頑張れって碧音に言ったんだろ?んな心配する必要ねぇから」
皐月が呆れ顔で、私の頭をバシバシ叩いてくる。脳細胞が死滅するから止めてください。
「ねえ星渚、今日は何の曲演奏するの?」
キュルルン、瞳を輝かせ星渚さんを見上げる。
必要以上に密着してるのは、周りの女子を威嚇するために違いない。チラリとその人達を一瞥して、勝ち誇ったように口角を上げているのがその証拠だ。
小悪魔恐るべし。
「今日1曲目はLiarかなー。l hold my breathから始まるやつ」
「あれね!私その曲好き」
たった曲始めの数単語で直ぐに記憶から引っ張り出せるって、菜流は星渚さんが大好きだけどバンドも好きなんだなー、と思う。
菜流がねだれば、どこでも星渚さんが歌ってくれるんだろうから羨ましい。
しかも特等席である、隣で。
「アンコールがあれば、また追加で1曲やるけどな!」
「え!アンコールの時演奏する曲って?」
皐月の嬉しい一言に勢いよく食いつく。