キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「まだお前が聞いたことねえやつ」
「私が?」
「結構前に作った曲なんだよ。俺が作曲して、碧音が作詞」
「っぇええ!?碧音君が?」
ズイズイズイッ、前のめりになると皐月が『鬱陶しいわ』と手で顔面を押し戻す。
どうして皆顔面狙ってくるのかな。優しく肩に手を置いて引き離す、とか出来ないのかな。
「私、碧音君が作詞した曲ってちょっと想像つかない」
いつも平気で毒を吐く碧音君が書いた歌詞って、どんなものなんだろう。案外心に染みる感動系なのか、はたまたセンセーショナルなものなのか。
普段から口数が少ない碧音君が歌詞に込めた想いを、早く知りたい。
「作曲は俺だかんな!すっっばらしい曲に決まってんだろ」
「自分で言っちゃうとこがね」
「その顔ムカつくから止めろ変態」
頬をビヨヨーン、冗談とは思えない力強さで伸ばしてくる皐月。痛い痛いほっぺが伸びちゃうでしょ!