キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「皐月、そろそろ行くよ~」
「ん?時間か」
星渚さんに呼ばれると、やっと頬をつねっていた指を離してくれた。ジンジン痛む頬を擦る。
「星渚、もう行っちゃうの?」
「一応ね。早めに集まれって言われてるから」
「私、星渚達以外のバンドなんて正直興味ない」
「菜流ぅぅう!!素直過ぎるお口にチャックしようか!?」
慌てて菜流の口を塞ぐ。けど一緒に鼻も手で覆ってしまったため、息が出来ないと目で訴えられパッと手を離す。
「なーる、それは言っちゃダメ」
「本当だもん」
「悪い子だなぁ」
星渚さんは苦笑いしながら、菜流にデコピン。
何だこの甘々な雰囲気は。キャラメルと砂糖と蜂蜜を合わせても足りないくらい、甘ったるい。
この2人は、どう転んでも最終的にはピンクのオーラに包まれちゃうのね。皐月と私は顔を見合せ、溜め息を1つ。