キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「え?ここに来る前に買ってきたじゃん」
「んー。でも1本じゃ足りない気がしてきた。会場内で売ってるけど、絶対並ぶし」
これだけ人が集まり、更に炎天下となれば行列に並ばないと飲み物すら買えないはず。
「菜流は大丈夫?買ってこようか?」
「どうしようかな……。なら、私は小さいペットボトルのやつ買って来て欲しい」
「オッケー」
「15分しかないから急いでね」
「大丈夫、大丈夫」
そう言って自販機を目指し反対側の道路へ小走りで行き、更に細い路地へ。
「どれにしよっかなぁ」
スポーツドリンクか、緑茶か紅茶か。……暑いし、これにしよう。ピッとボタンを押して購入したのは、白く濁った色のスポーツドリンク。
菜流はお茶が良いかな、小銭を投入して一まわり小さいペットボトルのお茶を買った。
ペットボトル2本を落とさないように抱え、ジャラジャラ出てきたお釣りを財布に入れようとした、ら。
「あっ!」
チャリンチャリン!危うく落としそうになったペットボトルに気をとられ、逆にお釣りをアスファルトの上に落としてしまった。