キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
私、断じて何にもしてない友達だから。あれ、おかしいな涙が。すべては本音を抑えきれない私が悪いんだけどさ。
「ははっ、明日歌ちゃん面白いね」
「藍、こいつは面白いのレベルじゃねえよキャラ濃すぎ!」
「て、照れます」
「「褒めてねえ」」
高瀬さんと碧音君がハモった。仲良しだね。
「星渚、そろそろ帰ろう?」
「ん、いいよ」
菜流が瞳をとろんとさせ、瞼を閉じたり開いたりを繰り返している。静かだったのは、眠気が増してきていたからか。
「菜流と星渚は車で帰るとして。明日歌ちゃんは帰り大丈夫?電車?」
「電車です。そこの桜川駅で乗って、南豊山方面に」
「そっか。菜流と碧音と同じ高校ってことは明日歌ちゃんもそっち方面なのか」
藍さんが碧音君に視線を送ると同時に、げ。嫌そうな顔をされた。
「碧音、ちゃーんと送るんだぞ?」
ニヤニヤしながら高瀬さんが口に手をあて肩を揺らしてる。笑いを堪えきれないのがバレバレ。
「俺は菜流と、藍は皐月と帰って、明日歌ちゃんは刹那と。オッケー?」
「俺はそれでオッケー」
「皐月、これを押し付けるなよ」
「碧音君さあ行きましょう駅へ!」
そう言ったら舌打ちされた。いやでも、結局方向も電車も一緒なのは変わらないからさ。
「藍、俺らも早く帰ろうぜ。レポート書かねえと」
「そうだな。明日歌ちゃん、碧音も気をつけて」
「はい、お疲れさまでした!」
高瀬さんに肩を組まれた状態で振り返り手を振ってくれるので、私も頭を下げた。