キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「皐月に乙女心なんて、一生理解できないよ」
「お前に男心なんか死んでも分かんねえよ」
バチバチッ!火花が飛び散る。私達一応カップル演じるはずだったのに、無理だ。
「はーあ。碧音君……」
「……」
「碧音君、秘密ばっかりだ」
近づこうとするほど、手を伸ばすほど彼はすり抜けていってしまう感じがする。
「てめえは本当、碧音碧音、碧音ばっかだな!俺の方が大人の魅力めっちゃあるわ」
頬杖をつき、ほんの少しだけクイッと私の袖を摘まんだ。
「そりゃ、皐月は年上だからね」
正直、精神年齢は子供かと突っ込みたくなる時もあるけれど。
「なあ、碧音のどこに惚れてんの」
ちょっと。改まって聞かれると、照れるじゃないか。顔を両手で包み『やめてよ、もう』恥じらっていたら、舌打ちしてキレそうになったからさすがに止めた。
皐月は意味もなく待たされるのが嫌いな男だから。