キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「明日歌、バイバイ。また学校でね」
「またね!」
「刹那も、じゃあね」
「ん」
碧音君は菜流に向かって軽く右手を挙げ、ぶっきらぼうに『ん』とだけ返す。
菜流の手を引いて、星渚さんはくすりと含みのある笑みを携え歩いていった。
どうやら2人は碧音君のことを『刹那』と苗字で呼ぶらしい。
騒がしかった公園が一気に静まったせいで、辺りの暗闇の深さをより肌に感じる。
ぽつりぽつり。頼りない人工的な明かりだけが道を照らす。
5分程歩き大きな道に出ると、人通りも多くなり、歩いている人が疎らにいる。
「ふふ、まさかこんなイケメンと一緒に帰れるとは」
「まさかこんな変態と一緒に帰らなきゃいけなくなるとは」
「お願いだからゴミを見るような顔しないで」
「しかも高校同じって」
「運命だね?!」
「災難だな」
「そういえば部活は軽音に入ってないの?確かあるよね」
「人の話を聞け。……入ってないけど」
「両方やるのは大変だもんね」
「うん」
そういうことか、納得。