キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「どこに惚れてるかって、全部。色気を体現したような艶かしい首筋に鎖骨、細い腰、冷ややかな眼差しもいいよね。あとたまーに優しいんだよ?分かりにくいけど。それに――」
「あー、はいはいはい。もう良いわ、十分」
皐月がヒラヒラ手を振って、急に話を遮る。私はまだ言い足りないのに。
「お前さあ、好きって何なのか理解してんのかよ」
「え?」
「今の話聞いてて思った。表面的じゃなくて本当の“好き”がどういうものなのか、自分の中でちゃんと答えがあるのかって聞いてんだよボケ」
トン、人差し指で額をつつかれる。ボケは余計だ。
「あ、ある。答え」
「へーえ?」
「何でそういうこと言うの。難しい話しないでよ、皐月のくせに」
恋は理屈じゃない、直感だ。本能が、叫ぶのだ。
「要はあれだ。進み続けるんじゃなくて、立ち止まって考えることも大切だって教えてやったんだろ。今回の歌に関しても、空回りするなって話」
「皐月に諭される日がくるとは」