キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「桐谷、行くぞ」
碧音君が菜流との話に夢中になってる桐谷君に腕時計を見せる。体育だから着替える時間も必要だ。
「んー残念!まだ話してたかったけど体育頑張ってくるわ!」
「桐谷君が張り切りすぎないように見守ってやりなよ刹那」
「俺がはしゃいでる子供みたいな言い方ー」
「ほら前向いて。行きマスヨ」
「碧音まで?!優しい声のトーンと呆れたような眼差しが全然合ってない!」
桐谷君を連れて体育館へ向かう碧音君の姿は本当に保護者に見えるからつい笑ってしまった。菜流も『バカだよねぇ』とくすくす笑う。
じゃあ私達も授業の準備しますか、と教室へ戻ったら。
「明日歌!」
「み、美和ちゃん?」
同じクラスの美和ちゃんに切羽詰まった様子で迫られた。どうしたっていうんだ。
「もしかして、明日歌って刹那君と知り合い?」
「うん、そうだけど……」
きっとさっき私と菜流が碧音君達と話していたところを見たんだろう。
「あのね、お願いがあって」