キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
まだかまだかと待っていると、ついに。
「碧音君!!」
階段を上ってきた碧音君と桐谷君めがけて突撃する。
「碧音君、ちょっと話したいことがあるんだけど大丈夫?」
「……桐谷行こう」
「待って待って、違うの私が話があるっていうよりこの子が、美和ちゃんがね!」
緊張してガチガチの美和ちゃんの背中をそっと押す。碧音君は眉を寄せて誰?って顔。
「はっ、は初めまして、関美和です。刹那君にお願いしたいことがあって」
「……」
「えっと、私と一緒に文化祭でライブしてください!」
「美和ちゃん話がとびすぎてるよ碧音君の顔見て?目が死んでるよ?」
「わぁああごめんなさい刹那君、もう一度チャンスを!私が所属してる軽音が今度の文化祭でライブするんだけど、ギター担当の先輩が骨折しちゃったの」
碧音君は無表情のまま。整った顔立ちだから余計に怖い。ただ話を聞いてくれてるからありがたい。
「うちの部人数が少なくて皆自分の担当で手いっぱいだし、今から新しい曲に取りかかって完成させられる人もいなくて。でも、3年生にとっては最後のステージだからちゃんと曲を演奏したい」