キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「ん。了解」
これで交渉成立、碧音君がギター担当として文化祭でライブすることが決定。
オッケーをもらえた美和ちゃんは碧音君になんどもありがとうと言いながら教室へ戻って行った。
私も碧音君と桐谷君にお礼を言って教室に入る。
その後ろで。
「……俺が、必要、か」
ちょっとの物音でかき消されてしまうくらい小さな声で、碧音君が呟いていて。
そのとき、どんな表情でいたか知らずに。
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掃除当番を終えて教室に戻ってきた美和ちゃんに声をかける。
「美和ちゃん、私も邪魔じゃなければ軽音の練習見に行ってもいい?碧音君に頼んだ責任は私にもあるし」
お願いするだけして自分は帰るなんて出来ない。
「その方がありがたいよ!刹那君も明日歌ちゃんがいた方が安心すると思う」
「安心するかは微妙だけどね。向こうも掃除終わってる頃だろうし行こうか!」
荷物を戻って碧音君の教室に行くと、自分の席で携帯を弄りながら待ってくれていた。窓から差しこむ光が綺麗な横顔のラインを引き立たせていて。
どこからどう見ても、美少年。
「刹那君、お待たせ!」
美和ちゃんが手を降ると携帯をしまってこちらに来てくれた。
「お前もいるの」
「責任をもって見守ってるから安心してね」
「いつもみたく騒ぐなよ」