キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「俺はベースの佐々木圭!雨宮と同じで3年。俺めっちゃmidnightのファンだから嬉しいっす!!」
一番初めに碧音君を見てオーバーリアクションをとっていた先輩。
midnightのファンってことは、ライブにも通っているのかもしれない。
残るは美和ちゃんが言っていたギター担当の先輩だ。ギプスで固定された腕が痛々しい。表情も心なしか暗い。
「2年の白石です。刹那君、俺がケガしたばっかりに無理なお願いしてごめんな。それでも引き受けてくれてありがとう」
「引き受けたからにはやりきります」
言葉は少ないけど、碧音君も白石先輩が今どういう思いでいるのかは分かっているんだろう。
「美和も、刹那君と橘さんに呼びかけてくれてありがとな。助かった」
固定されていない方の手で美和ちゃんの頭をぽんぽん撫でる。落ち着きのあるところが何となく藍さんっぽい感じ。
「刹那君、練習には俺も絶対いるようにするから分からないことがあったら俺に聞いてくれ……って、俺よりうまいんだろうけど」
「いえ。お願いします」