キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】



雨宮先輩の伸びのある歌声が室内に響く。


曲はアップテンポで、文化祭でライブするにはぴったりの選曲だ。美和ちゃんも普段からは想像できないほど全身でリズムを刻んでる。


「—―行かないでなんて言えないよ—―」


碧音君にはこの雨宮先輩の声や美和ちゃんと佐々木先輩の演奏が、どう映っているのか。


ジャン、とベースの音で演奏が終わり、皆碧音君から何を言われるのか緊張した面持ちで待つ。


「……そうですね」


抑揚のない声。あ、これはもしかして。


「一言でいうと、雑。リードギターがいないからって以前の問題」


まさかいきなりこんな風にダメ出しされるとは予想していなかったんだろう。


隣にいた白石先輩も呆然とした表情。


「まず関はリズムの取り方が下手。メトロノーム常に隣に置け」


「へ、へたっ……!!」


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