キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
参加してるといっても、このパターンとこのパターンならどちらがいいかを選ぶくらいだけど。
「どれがしっくりくるか選べよ」
「それはまた後でやるしさ、待ってて」
ほんの数分だからと腰を浮かせると、腕を掴んでいた手をガッチリ肩に回されてしまった。
いや、肩というか首にまで。
女子に対してする行為ではない、意思を込めてジト目で睨んでも皐月は『再生すっから』とあっさり無視しやがった。
「皐月、離してください」
「放っといてやれよ」
「えっ、なん……」
放っといてやれよ、それは私が藍を気にしていると知っていての言葉。
「お前の考えなんかすぐ分かるわ。藍が心配で声かけてやろうとか慰めようとか思ってんだろ」
スルリ、漸く私の首に絡めていた腕をほどいてくれる。見事に皐月に心の内を見透かされ、鼓動が早くなった。