キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「私、藍の様子がいつもと違うから声をかけようとしたら皐月に止めろって言われた」
「皐月の言う通り、放っといてあげたら?」
「星渚さんまで……」
皆、仲間に対して冷たいっていうわけじゃないのは私も知ってる。でも、大丈夫かくらい聞いてもいいじゃないか。
「藍は、人に自分の深い事情に踏み込まれるの好きじゃないんだよね。特に、気持ちが整理出来てない時は」
譜面に目を通しつつ、何てことないように言ってのける。
「だからね、明日歌ちゃんがどんな言葉を言っても藍は何でもないって言う」
意外だ。藍は他人をすんなり受け入れるタイプだと思っていたから。
人にはそれぞれ他人に打ち明けたくない、一線を引いてるテリトリーがあるはず。
でも藍は、比較的そういうのが無い人だと勝手に判断してしまっていたようだ。
「だから、様子みて接してあげて」