キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
藍なら、やりそうでしょう。
「人に助けて欲しいって思ってる確率もゼロじゃない。お節介だと疎まれてもいいから踏み込んで、もし許してもらえたら全力で答えを一緒に探す。今何も行動しないよりかは、よっぽどこっちの方が価値がある」
碧音君は私の前に立ち塞がって、道を開けてくれない。
早く、早く藍に会わなきゃいけないのに。どうして退いてくれないの碧音君。
お互いが主張を譲らない、続く沈黙を破ったのはこの場に似つかわしくないのほほんとした声だった。
「2人共、そこまでー。落ち着こうか」
「星渚さんっ」
全く気配を感じられなかった。この人怖いんだけど。
「刹那、行かせてあげて」
「は?」
「道、開けてやりな」
星渚さんがそう言ってくれるとは予想外だった、てっきり碧音君側の考えだと。
「星渚、何言ってんの」
碧音君は歪んだ瞳を私ではなく次は星渚さんに容赦なく向ける。