キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
私に『うざい変態』だとか冗談を言う時も目を細めて冷たい顔をするけど、それとは別の。こんなの、初めてで。
でも、ミルクティー色の髪をふわりと揺らし唇で弧を描く彼は動じないのだ。
「明日歌ちゃんに任せようよ、藍のこと。今の話聞いててね、明日歌ちゃんなら適任かもーって」
今の話を聞いて?まさか私と碧音君のやり取りを全部聞いていたとでも?
星渚さんは王子様スマイルを崩さないまま。飄々としているというか、読めない人だ。
「明日歌ちゃん、行って。藍なら、そうだなあ。近くに川岸あるよね?そこにいるか、もしくは家にいるよ多分」
「迂闊に行動してもそんなの」
「刹那」
「――……っ」
星渚さんが宥めると、碧音君は嫌々といった感じで退いてくれた。
それと同時に私はすぐ様スタジオを飛び出したのだった。
藍、今行くよ。