キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
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あいつが出ていった玄関を訳もなく眺める。
「何で、行かせたの」
「適任だと思ったからって、言ったじゃん」
「だからその理由を答えろ」
星渚の意図が俺には分からない。
口ぶりからすると、俺達の会話は影に隠れて聞いていたはず。なら、俺の言ったことも十分理解してるよな。
何で。
「今回は、刹那。感情的になっちゃったねぇ。得意のポーカーフェイスが崩れてるよ」
「なってない」
「嘘。あれは明日歌ちゃんに対して言った台詞じゃないでしょ?『相手を知った気になって助けようとする』って、さ」
「それは、どうでもいいだろ」
これ以上深く掘り下げるなと目で訴える。
星渚には『まーまあ、カッカしない』と肩を叩かれた。
「あれだけ藍のために動きたいって言ってんだから任せようよ。それに、俺は明日歌ちゃんに何とかしてもらうのがいいって直感で思った」
「直感とか」
「俺の勘は当たるじゃん」