キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
もう一度名前を呼べば、私に気づいてくれた。
何故私が川岸にいるのか、どうして居場所が分かったのか、そんな顔で目をパチパチ。
「わっ、私……藍をさが、探しに」
「大丈夫?すごい顔」
「ごめ、息が」
何せ走りっぱなしだったから、息が乱れてしょうがない。
へばってハーハー息をあげる私の背中に、藍は優しく手を当てて上下に擦ってくれた。
情けないです、明日から毎日ジョギングでもしよう。
「深呼吸して、ゆっくり」
藍は自分が辛くてもこうやって他人を心配してくれる。
無性に泣きたくなった。泣きたいのはきっと、藍の方なのに。
ふう、息を吐き出し何とか落ち着いたところで、本題を切り出す。
「藍に、話があって追いかけてきた」
「よく分かったね?俺の居場所」
「星渚さんが教えてくれて」
「星渚が……」
星渚さんの予想はピッタリ当たっていた。
「藍、練習に来られなくなるって皆に言ったんでしょ?」
「言ったね」