キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】


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―――……



「やばい」


家に帰りたくないのは毎度のこと。でも今日は本当に嫌だ。


ランドセルが何十倍も重く感じる、ズッシリと。原因は今日やったテストで良い点が取れなかったから。


……良い点が取れなかったからどころじゃない、今までで最低点だったんだ。


テストがあったことは保護者宛てのプリントでお母さんも知ってるし、やらなかったなんて嘘つけない。うわ、最悪。


さすがに怒られる気がする。鉛のような足を引き摺りながら家にたどり着き、靴を脱ぎ捨ててリビングへそうっと入った。


結人が玩具を弄ってる中、それに背を向けてお母さんはテレビを見ていた。


「お母さん……」


「何」


ランドセルからテスト用紙を引き抜き、おずおずと差し出す。


「き、今日のテスト」


「……」


トクトクトク、心臓がはね上がる。もう外で遊ぶの禁止!その分勉強しなさい、とか言われるのかな?

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